将棋の羽生善治氏は、第三十期の「竜王戦」7期目の竜王を制し「永世七冠」を獲得しました。
現在この偉業を成し遂げた羽生善治氏に「国民栄誉賞」の受賞を検討していると言われています。
「永世七冠」を獲得したのは羽生竜王が歴代初の快挙となり、もし国民栄誉賞も受賞することになれば、これもまた将棋界で受賞するのは初となりますので益々将棋界は盛り上がりますね。
今回は「永世七冠」についてと、他の棋戦の気になる賞金額や種類を分かりやすく図でまとめてみました。
目 次
永世七冠とは?
まずは「永世七冠」の偉業を成し遂げた、羽生竜王の紹介をさらっと。

出典:Wikipedia
生年月日:1970年9月27日(47歳)
プロ入り年月日:1985年12月18日(15歳)
棋士番号:175
出身地:埼玉県所沢市
師匠:二上達也
段位:九段
タイトル獲得合計:99期(歴代1位)
一般棋戦優勝回数:44回(歴代1位タイ)
「永世七冠」とは、7つタイトル戦それぞれで「永世称号」得ることです。
簡単そうに感じますが、1つの「永世七冠」を獲得するだけでも大変難しい事です。
現在、将棋のタイトルは8つ。
2017年の今年に「叡王戦」(えいおうせん)がタイトル戦に昇格した事により8つになりました。
タイトル戦で「永世称号」を得るにはそれぞれ規定があり、その規定を達成する事でなることができます。
ただ、タイトルは現在8つですが、最近昇格した「叡王戦」に関しては「永世称号」という規定がないので、「叡王戦」以外の全てのタイトル戦で「永世称号」を獲得しなければ「永世七冠」を得る事はできません。
タイトル戦で優勝するという事だけでも凄い事ですが、そのタイトルを規定数勝ち続け「永世称号」を得て、それを7つのタイトル全てで「永世称号」を獲得する。
羽生竜王のこの偉業がいかに凄い事かが理解できますね。
ちなみに、羽生竜王の通算のタイトル獲得の合計記録は、なんと99期となっています。
タイトル戦の永世資格の条件
永世竜王 | 通算7期保持 or 連続5期保持 |
---|---|
永世名人 | 通算5期保持 |
永世王位 | 通算10期保持 or 連続5期保持 |
名誉王座 | 通算10期保持 or 連続5期保持 |
永世棋王 | 通算5期保持 |
永世王将 | 通算10期保持 |
永世棋聖 | 通算5期保持 |
※永世でも名誉でも総称して一般に「永世称号」と呼ばれます。
次に「永世七冠」の可能性があるのは?
永世の称号を獲得している方を調べてみました。
獲得した「永世称号」 | 称号数合計 | |
---|---|---|
大山 康晴 | 名人・王位・王将・棋聖 | 4 |
中原 誠 | 名人・王位・王座・棋聖 | 4 |
木村 義雄 | 名人 | 1 |
谷川 浩二 | 名人 | 1 |
森内 俊之 | 名人 | 1 |
米長 邦雄 | 棋聖 | 1 |
佐藤 康光 | 棋聖 | 1 |
※参考:Wikipediaより
「永世称号」の獲得数が4つの大山康晴棋士は既に他界しており、同じく獲得数が4つの中原誠棋士は引退をされています。
いかに「永世七冠」が難しい事かが分かりますね。
では、次にタイトル戦を含む「棋戦」について解説します。
「棋戦」の種類と内容について
将棋の世界では、その強さを戦いタイトルを得るプロ棋士同士の争奪戦を「棋戦」といいます。
スポーツなどと同じように女流棋士が争う「棋戦」は「女流棋戦」と言われています。

上記の図のように「棋戦」には「公式戦」と「非公式戦」があります。
そして、公式戦は「タイトル戦」と「一般棋戦」に分かれます。
タイトル戦の序列についてはスポンサーの賞金額の多さで決まっています。
なので、1番賞金の高い竜王戦が1番序列が高いという事です。
ちなみに、1番歴史が長いのは「名人戦」で、1937年から開始されました。
数回の対局を行いて、同じ対局者同士の勝数を決定する事。勝ちが多い方を優勝者等とする。仕組みを「番」は対局する回数を表しています。
待ち時間とは、その対局で自分が使用できる最大時間の事で、自分の番の時には待ち時間が減り、待ち時間がなくなると負けになります。
タイトル戦の主催・日数・待ち時間
主催 | 永世称号 | 待ち時間 (日数) |
|
---|---|---|---|
竜王戦 | 読売新聞 | 永世竜王 | 8時間 (2日制) |
名人戦 | 毎日新聞 朝日新聞 |
永世名人 | 9時間 (2日制) |
王位戦 | 新聞三社連合 神戸新聞 徳島新聞 |
永世王位 | 8時間 (2日制) |
王座戦 | 日本経済新聞 | 名誉王座 | 5時間 (1日制) |
棋王戦 | 共同通信 | 永世棋王 | 4時間 (1日制) |
王将戦 | スポーツニッポン新聞 毎日新聞 |
永世王将 | 8時間 (2日制) |
棋聖戦 | 産業経済新聞 | 永世棋聖 | 4時間 (1日制) |
叡王戦 | ドワンゴ | 未制定 | 1/3/5/6時間 (1日制) |
※参考:Wikipediaより
棋戦の賞金額(対局料)
タイトル戦
賞金額 | |
---|---|
竜王戦 | 4,320万円 |
名人戦 | 2,500万円 |
王位戦 | 1,000万円 |
王座戦 | 800万円 |
棋王戦 | 600万円 |
王将戦 | 300万円 |
棋聖戦 | 300万円 |
叡王戦 | 2,000万円 |
※竜王戦以外は賞金額が公開していないので、予想の金額になります。
負けてもお金が支払われる
大抵の棋戦では「対局料」という物があり、負けたとしても一局あたり1~10万円が支払われます。
タイトルによっては負けた場合でも挑戦者には以下の金額が「対局料」として支払われます。
- 竜王位 負けた場合 1,620万円
- 名人位 負けた場合 450万円
その他の棋戦
- 朝日杯将棋オープン戦 750万円
- 将棋日本シリーズ JTプロ公式戦 500万円
- 新人王戦 200万円
※他の棋戦は非公表です。
⇩羽生善治氏と井山裕太氏の年収の比較⇩
プロ棋士になるには?
将棋のプロになる事を「棋士」と呼びますが、どうすればなれるのでしょうか?
まず、棋士を目指すのであれば「奨励会」に入らなければなりません。
そして、そこで「四段」に昇進するとプロ棋士となります。

そして、今話題の藤井聡太四段は現在「C級2組」で、国民栄誉賞を受賞されるかもしれない羽生竜王は九段でA級以上になります。
まとめ
プロの将棋の世界は本当に厳しい物なのですね。
プロ棋士になるだけでも凄い事ですが、「永世七冠」を達成された羽生善治名人は本当に国民栄誉賞に値する偉業を成し遂げたと言えます。
羽生善治名人のように「永世七冠」を達成する人物は今後いないのではないかという声もありますが、藤井聡太四段はこれからの方なので是非頑張ってほしいものです。