2018年はインフルエンザの患者数が過去最多になり(1999年の調査開始以来)、1万を超える学校などで学級閉鎖になりました。
ここ数年猛威を振るって社会現象になっているインフルエンザですが、効果のある予防はどのような事なのでしょうか?
今回は、医師1007人が答えたインフルエンザ予防の効果的方法の1位〜5位までの紹介と、インフルエンザを長年分析した医師が明らかにした意外な感染源についてまとめてみたいと思います。
目 次
医師1000人が勧めるインフルエンザ予防はやっぱり「手洗い」
日本の医師の3人に1人が登録している医師専用コミュニティサイト「MedPeer」(メドピア)がインフルエンザについてのアンケートを実施し「インフルエンザ予防に効果があると思う対策は?」という調査を行いました。
「インフルエンザ予防に効果があると思う対策は?」アンケート結果
1位 | 手洗い | 639 |
---|---|---|
2位 | 人混みに行かない | 625 |
3位 | 睡眠・休養をとる | 528 |
4位 | 予防接種でワクチンを打つ | 457 |
5位 | 加湿をする | 308 |
■調査概要調査対象:医師専用コミュニティサイト「MedPeer」に会員登録をする医師
調査期間:2017年12月15日~2017年12月18日
有効回答:1,007人
回答方法:全て択一選択式(自由回答式の事前調査で選択肢を作成した上で、本調査を実施)
メドピア株式会社プレスリリースより
インフルエンザにはやはり「手洗い」が1番効果的のようです。
インフルエンザの主な感染経路は「飛沫感染」や「接触感染」です。
インフルエンザにかかっている人が「くしゃみ」をしたとすると、約200万個のウイルスが飛散すると言われており、咳の場合でも約10万個のウイルスが飛び散ります。
「くしゃみ」や「咳」でウイルスが飛び散る範囲は約1m〜2m。
もしその距離内にいた場合、飛沫したウイルスが目、鼻、口から直接侵入(飛沫感染)して感染したり、ウイルスが付着した物に触れてしまいその触れた手で鼻や口、目を触る事で感染(接触感染)してしまいます。
「手洗い」が1番の理由は、そうやって手や指に付いてしまったウイルスを手を洗い奇麗にする事で「接触感染」を防ぐ効果が高くなると言う事です。
インフルエンザに効果的な「手洗い」の方法
手の油分と一緒についている汚れやインフルエンザの感染の原因となる病原菌を落とす事が「手洗い」で重要な事です。
「手洗い」の方法として、手を2度洗いする事や、消毒作用のある薬用の石鹸を使ってしっかり洗う事をお勧めする情報もありますが、手を2度洗いする事や、消毒作用のある薬用の石鹸を使って洗わないといけないという事はありません。
きちんとした手洗いが行われているのであれば、通常の石鹸を使って1度の手洗いで大丈夫です。
特にインフルエンザに注意する時期は冬ですので、乾燥による肌荒れも心配です。
インフルエンザの予防に大切なのは外出した後の「手洗い」ですが、何度も手を洗っていると皮脂が落ちすぎてしまい手荒れの原因になります。
手荒れになって皮膚が割れてアカギレなどの傷ができると、そこから病原菌が侵入してインフルエンザに感染してしまうという事もある為、「手洗い」が終わった後は必ず保湿をして手荒れの対策をする事が重要です。
しかし、2度洗いや消毒作用のある石鹸が必要ないというのは、きちんと手洗いがされている場合です。
上記のようにきちんと手を洗う場合は通常30秒ぐらいはかかるそうです。
インフルエンザ予防をしっかり行うには、外出して戻った際は毎回手を正しく洗い、その際に保湿も行いましょう!
インフルエンザの意外な感染源は誰?
インフルエンザについて、長年独自の調査票でデータを分析している医師がいます。
神奈川県にある「廣津医院」の廣津伸夫院長は、長年にわたり調査をしており、これまでの対象者は7200人近くになりました。
その調査の内容は廣津伸夫院長の独自のもので、家族構成から発症時期や治療を開始した時期など多岐にわたります。
そのなかで今回注目していただきたいのが家庭内での感染源(家庭内で1番最初に発症した家族)のデータです。
家庭内で1番先に感染するのは?
1位 | 乳幼児 | 639 |
---|---|---|
2位 | 乳幼児 | 625 |
3位 | 学童 | 528 |
4位 | 母親 | 457 |
(2011年からの5年分 1241人の調査票より)
「HUFFPOST」より
家庭内で1番はじめに感染する事が多いのは1位が乳幼児という結果になりました。
乳幼児に関しては抗体がまだできていないので、外出する頻度が少ないとしても菌に感染してしまう可能性が高いのはしょうがない事ですし、乳幼児がいるご家庭も全国の割合としては少ないと思います。
注目したいのは、次に感染するのが多い結果となった「父親」です。
確かに、インフルエンザが流行する時期には、学校でも感染予防として対策がとられたり、母親も子供がインフルエンザに感染しないようにと対策にいそしむのは良くある光景ですが、父親がインフルエンザの予防に積極的に対策をしているというのは実際少ないですよね。
インフルエンザでも父親が会社を休まない理由
仕事をしている父親は、人と会う機会も多く通勤で人混みに紛れなければならない事もありインフルエンザに感染するリスクが高くなってしまう理由は分かります。
しかし調査した医師によると、父親が家庭内でインフルエンザに初めに感染する割合が他の家族より高いのには「父親のインフルエンザに対する意識の差が影響しているかもしれない」と語っています。
そして、父親がインフルエンザに対する家族との意識の差は「日本社会の現状」にも大きく関係しているようです。
会社の社員である「父親」はインフルエンザにかかって仕事を休んでしまう事に抵抗を感じている人が多く、自分の代わりに仕事をする事になる人に悪いと思っていたり、自分しかできない仕事を抱えていて代わりがいないので休めないと思っている方が多いのです。
実際の数値で見てみると、会社に勤める30代〜40代の男性へ調査した結果、約60%の人が「風邪で仕事を休みづらい」と答えている事でも明らかです。
参考:第一三共ヘルスケア
この事から、会社員である父親の多くはインフルエンザの兆候があっても会社に出社し、さらにインフルエンザに対する予防意識も薄い事からウイルスを会社でまき散らしている可能性が高いのです。
また、インフルエンザに関しての意識が低いと感じられる事は他にもあります。
先に述べた廣津伸夫院長による独自の調査では、家庭内でインフルエンザが広まる「家庭内感染率」がまとめられています。
- 乳幼児から ⇒ 母親に感染 17.8%
- 乳幼児から ⇒学童に感染 14.5%
- 乳幼児から ⇒父親に感染 6.3%
- 父親から ⇒乳幼児に感染 15.4%
- 父親から ⇒母親に感染 8.8%
- 母親から ⇒父親に感染 1.9%
上記の内容から、1番初めに発症される事が多い乳児から母親への家庭内感染は1番割合が多く17.8%。
これは乳幼児の看病をしなければならない母親としては致し方ない事なのかと思われます。
しかし驚いたのが、仕事で家庭にいる時間が少なく、乳幼児と接触する時間が少ないと予測できる父親から乳幼児への感染率が15.4%で非常に高い割合だという事です。
また、母親から父親への家庭内感染が1.9%なのに対し、反対に父親から母親への感染が8.8%に数値が上がっています。
これは、父親がインフルエンザに対しての予防意識が低いために、会社などの外からもらってきてしまったウイルスを家庭内にそのまま持ち込み、なおかつ家族に対し予防をせずに安易に接している為にこのような数字になったと思われます。
まとめ
インフルエンザの対策として有効な事は色々ありますが、今回の調査をまとめて感じたのはインフルエンザに対しての家族全員の一致した予防意識が大切だと言う事です。
母親や子供がインフルエンザの予防に積極的でも、インフルエンザに対しての正しい知識と予防への関心がない人が1人でもいる事でインフルエンザのウイルスが家庭内に侵入してしまいます。
まずはインフルエンザに対する正しい知識と予防に対する取り組みを家族で確認する事がインフルエンザ予防の有効的な手段として、とても重要な事ではないでしょうか。