最近はオシャレなピアスが多いので、毎日ピアスを付け替えてファッションを楽しんでいる方は多いと思います。
でも、毎日付けていると心配なのが、かぶれや湿疹などの金属アレルギーの問題です。
金属アレルギーはほおっておくと重症化してしまう場合があります。
金属アレルギーの原因や症状、アレルギーになりやすいピアスの素材などをまとめてみましたので是非参考にして金属アレルギーの対策にお役立てください。
金属アレルギーの原因
金属アレルギーと聞くと、金属そのものが原因ではないかと思う人もいるでしょう。
しかし、金属アレルギーは誰でもなる可能性があるのです。
金属アレルギーとは、体内に入ってきた異物に対して、体を守るための免疫反応が過剰に出ることを言います。
金属アレルギーが発症する原因は、汗などの体液で身体に触れている金属の金属イオンが溶け出し、それがタンパク質と結合する事でアレルゲンとなりアレルギーを引き起こすのではないかとされてきました。
しかし、「金属イオン」が直接の原因であるとの確証はなくまだ金属アレルギーの原因は不明な点が多くありました。
しかし、2016年大阪大学の世界初のマウス実験により「金属ナノ粒子」が原因でアレルギーが発症する事実が明らかとなりました。
金属アレルギーは、身に着けたネックレスなどの金属から、汗などによって金属イオンが溶けだし、その金属イオンに曝露することで、直接的もしくは生体内分子と結合することで、病態が発症するものと考えられてきました。しかし、金属イオンを単にマウスに投与しても、金属アレルギーは発症せず、発症の原因が、単なる金属イオンの曝露ではないことも示唆されるなど、いまだ原因不明です。このような背景のもと、近年、金属から溶け出した金属イオンが再結晶化することで、金属ナノ粒子が自然発生することが明らかとなってきました。
引用:大阪大学大学院薬学研究科の研究グループより

出典:Resou大阪大学
上記の事から、金属アレルギーに関してはまだ研究の途中ですが、金属イオンが発生する事が引き金で金属アレルギーの直接の原因であるとされる「金属ナノ粒子」が発生します。
従って、金属に触れている時間が長いほど「金属イオン」が発生する確率は高くなるので、たった数日でもアレルギー反応が出ることがあったり、汗をかきやすい夏の時期は金属アレルギーになりやすいとされています。
また、一度金属アレルギーになると完治する事が難しいと言われている病気です。
一生治らないと聞くと怖く感じるかもしれませんが、ピアスをしても短時間で使用止めたり、症状が出た時に早めに対応する事で重症化する事はなくなり、症状を抑える事ができます。
アレルギーになりやすい金属となりにくい金属
アレルギー 陽性率 |
金属の特徴 | |
---|---|---|
ニッケル | 18.3% | 安価で加工がしやすい為 よく使われている金属 |
コバルト | 14.8% | 加工しやすく酸に強く、酸化しにくい為 よく使われている金属 |
クロム | 14.5% | 「6価クロム」がアレルギーを引き起こす |
亜鉛 | 7.3% | 食物による亜鉛摂取は身体に良い |
金 | 6.8% | 柔らかい為単体で使われる事は少ない |
銅 | 4.0% | 保険歯科治療に使用される為注意 |
銀 | 0.1% | 銀はイオン化傾向が低い金属 |
チタン | 0.1% | 比較的安価で強度があり腐食しにい |
参考:大船駅北口歯科インプラントセンター「金属アレルギーを起こしやすい金属」より
※「陽性率」= 金属アレルギーパッチテストの陽性率
重金属と呼ばれる金属は水に溶けやすいため金属アレルギーになりやすいとされています。
その中でもニッケルが一番アレルギーが起きやすく、次いでコバルトやクロムがアレルギー反応の出やすい金属になります。
ニッケルは非常にイオン化しやすいだけでなく、安価で加工がしやすい為、アクセサリーや硬化、服の金具等多くの製品に使われているため日常触れる事が多くアレルギー反応を引き起こしやすいです。
コバルトはアクセサリーに使われるだけでなく、歯の治療での歯材として使用されています。
唾液で溶けることもあり、アレルギーを引き起こしやすい金属となっています。
クロムには3価クロムと6価クロムがありますが、アレルギーの原因となるのは6価クロムです。
6価クロムは発がん性の可能性もあるため、排除しようと世界で議論されています。
クロムは金属のメッキ加工や、台所のステンレス製品、ドアノブ、革靴や革手袋といった革製品にも使用されています。
また、保険診療で使用される歯科治療にもクロムや銀や銅等の金属が使われる事が多いので、金属アレルギーがある場合は歯科の治療で使う金属にも注意しなければなりません。
体液に触れてもイオン化がしにくい金属は、チタンやプラチナや銀などの金属です。
高価な貴金属類でも金属アレルギーになる人はいますが、なりやすい金属に比べるとその発症率は下がります。
中身がニッケルやコバルトでその上を金やプラチナで覆ってメッキ加工したものもありますが、外側にするメッキは剥がれやすいので中身のニッケルやコバルト等が出てきて、イオン化してしまいます。
金メッキはなるべく使用をしないか、使用する場合は長時間の使用は避けるのが安心です。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーの症状には、金属の触れていた部分に起こる症状と、全身に起こる症状の2つがあります。
特に、接触皮膚炎という部分的に起こる症状が多いです。
この症状は、金属の触れていた部分に赤みが出たり、腫れやかぶれ、湿疹、蕁麻疹、水ぶくれ、膿みが出るなど色々な症状が起こります。

皮膚に直接触れる、ピアスや腕時計やネックレスなどが原因になる事が多いです。
ピアスをつけている人の中には、片耳だけが赤く腫れる、かゆみや半透明の液体が出てくるといった症状が起きる人がいます。
この場合は、ピアスの穴が上手く開いていないことや、ピアスをつけるときに傷がついてしまったことが考えられます。
全身に症状が現れる全身性皮膚炎というものもあります。
これは、食品や歯科材料によって体内に取り込まれて起こるケースや、ピアスを付け炎症が起きてもそのままにしておいた場合、ただれて出てきた半透明の分泌液が血液と共に全身に回って起こります。
そうすると、全身にわたってかゆみが出てきたり、手や足に湿疹ができる、赤く炎症するといった症状が全身に出てきてしまい、金属アレルギーが原因だと分からず別の病気を疑われる場合もあります。
金属アレルギーは一度発症すると完治が難しい病気で、症状も様々です。
重症化する前に、金属アレルギーにより耳がかぶれたり湿疹がでて赤くなった場合は、すぐにピアスの使用を中止して病院に行くなどまずは炎症を治す事を心がけて下さい。
金属アレルギーの検査をする
ピアスは直接皮膚と接触するため症状が出やすいのは事実です。アレルギーでもピアスをつけたい人は、先ずは病院でアレルギーテストをしましょう。
検査料金は病院により多少違いますが、1,000円〜2,000円程度で受けられます。
体質によって、アレルギー反応が起こりやすい金属と起きにくい金属があります。自分の体質を知ることで。選べるピアスも変わってきます。
パッチテストは16種類の金属の液をしみ込ませたテープなどを背中などに貼付けて様子を見ます。何日かそのテープを貼った状態で過ごして病院で反応を見てもらいます。
また、検査で金属アレルギーの反応が出た場合は色素沈着がおこる場合もあるので検査の前に医師とよく確認してから検査を受けるようにして下さい。
金属アレルギーでもつけられるピアス
金属アレルギーになると、ピアスはつけられないと思う人もいるでしょう。
しかし、ピアスには金属を使用しない樹脂で出来たものもあります。
壊れやすかったり汚れやすかったりとデメリットはありますが、金属アレルギーでもつけることが出来ます。なんでもそうですが、きちんと清潔にすることが大切です。
樹脂以外には、医療用のステンレス素材で出来たピアスがあります。
樹脂よりも金額は高くなりますが、医療用なのでアレルギー反応が起きにくく、樹脂と違い壊れにくいといったこともありません。
チタン・プラチナ・銀などは金属の中ではアレルギーが起きにくい部類のものです。これらのピアスを選ぶことも一つの手です。
自分の体質に合わせて、メッキ加工のしていないピアスを極力選ぶようにしましょう。
まとめ
金属アレルギーは誰でも発症してしまう可能性のある病気です。
ピアスでのオシャレが出来なくなってしまわないように、アレルギーの症状が出た場合にはすぐに病院に行き、重症化する前に治療を受けるようにして下さい。
また、金属アレルギー対応のピアスもつけるときは、ピアスだけでなく開けた穴も清潔に保ち、出来れば長時間の使用は避けるようにするのがお勧めです。